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スポーツ心理学の分野の研究で、プレッシャーを受けた選手が最大限の能力を発揮する時の最適なストレスのレベルがあることが知られています。これをピーク・パフォーマンス・ストレス・レベル(PPSL)と呼んでいます。
つまり、パフォーマンス(競技能力、成績)がピーク(頂点)となるストレスのレベルで、いわばテンションの高い状態です。
もし、ストレスがこのレベル以下であれば、たいくつ感や無気力感、競争心の欠如といった状態が見られ、逆にこのレベル以上にストレスが達すると、不安感がつのり、混乱したり自身喪失となったりするといわれています。
このPPSLは、スポーツのみならず、職場や家庭など日常生活においても適用することができます。
ストレス状態をPPSLにうまく持っていくことができれば、精力的で熱意と自信を取り戻し、仕事の結果をコントロールすることができます。何事にも素早く効果的に反応することが可能となり、創造的かつ上手に問題を解決することができるようになります。
このPPSLの程度はひとりひとり個人差があり、ある人が耐えがたいほどストレスが高いと感じる状況も、他の人では快適で適度な刺激のある状態にとどまっていると感じることもあります。
そこで、自分自身のストレス状態をモニターして、その時その時でどの程度なのか知るようにすることが大切になってきます。同時に、自分のコントロールできる範囲を超えた出来事によって起こる予期しないストレスの増加に対して防護手段を講じることにも注意しなくてはなりません。
このためには、次の「ストレス銀行」の収支バランスをうまく保つことが参考になると思います。 |
◆ストレスの預貯金を考える「ストレス銀行」 |
人生のさまざまなストレスに耐えるためには、ストレスへの余力がなければなりません。この余力は、実際にかかったストレスを解消するために消費されることになります。いわばストレスへの支払いをするのです。
そこでこの余力を金銭と同じようにストレス銀行に例えてみましょう。これをストレス耐性金=SRC(Stress Resistance Currency)と呼びます。ストレスへの支払いのためにSRCを蓄え、ストレスがかかった時にはいつでもSRCより支出するのです。もしこの蓄えを補充しないとストレスは借金となり、その時点から問題が生じてきます。
例えば、週末にリラックスして120単位(円でもドルでもユーロでもかまいません)を貯めたとしたら、どのようにこの蓄えを元手にして翌週を過ごすでしょうか…。
仮に
- 朝食の合間に奥さん(女性ならご主人)ととりとめのないことで口論をしたとしましょう。
これにSRCの蓄えより15単位支払われたことにします。
- 仕事に向かう途中、通勤ラッシュの渋滞に巻き込まれ、5単位が費やされます。
- いつもの勤務上のストレスを処理するのに10単位
- 上司から営業目標の未達を厳しく指摘されて20単位
- さらに午後になって突然起こった職場の一大事(例えば得意先とのトラブルなど)で瞬く間に30単位が支払われました。
- その後は用心深く過ごしたために40単位を残して帰宅しました。
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貯金 |
出費 |
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・妻との口論 |
15単位 |
・通勤ラッシュ |
5単位 |
・勤務上のストレス処理 |
10単位 |
・上司からの指摘 |
20単位 |
・職場の一大事 |
30単位 |
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次に別のシナリオを考えてみましょう。
- 朝食の間の口論で前述と同様に15単位が支払われました。
- 通勤途上の運転中に、道をふさぐ他のドライバーと張り合うことになり、そのために職場に着くのが遅れてさらに15単位消費されました。
- きげんが悪いまま職場に着き、ガミガミとどなる上司にイライラして20単位支払われました。
- この状況により、否定的で消極的な気分になってしまったために、すべてのことが自分の努力の及ばないことに思えてきて、いつもに増してプレッシャーがかかりさらに30単位費やしました。
- たいへんな一大事が持ち上がって、これに45単位が消費されました。
- ストレスがたまってイライラしたまま帰宅すると、さらなるいざこざが待ち構えています。
中学生の気むずかしくなった息子と言い争って、20単位支払われます。
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貯金 |
出費 |
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・妻との口論 |
15単位 |
・職場への遅刻 |
15単位 |
・上司にイライラ |
20単位 |
・プレッシャー |
30単位 |
・職場の一大事 |
45単位 |
・息子と言い争い |
20単位 |
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その結果、赤字が25単位となってしまいました。
睡眠による休息ではもはや十分なSRC貯金を補充できなくなるまでこの状態が続くと、翌朝床を離れる頃には引き出しが超過して負債が膨らんでしまっています。
あなたの限りある蓄えの中から安易に引き出してしまう前に、投資しただけの見返りがあるものかどうかを自分自身に問いかけてください。
SRCも本当のお金と同じように、貯金を貯めるのはむずかしいものですが、浪費するのは簡単です。
「これはSRCで何単位かかるものだろうか?」と自分自身に尋ねてみてください。過去の経験をもとに、実際にどれぐらいのストレスがかかってしまいそうかという観点で、それぞれに対して任意の数字を設定してみましょう。そして何か値段のはる買い物をする時のように、「値段ほどの価値があるだろうか。投資しただけの見返りを得ているだろうか。これに経費を費やすことで他では得られないような利益をもたらしてくれるだろうか」と自分に問いかけてください。
「もっとよい取り引きの交渉ができないか。もっと費用に見合った効果的な方法を用いて、同じ結果を得ることはできないだろうか」と、できるかぎり可能性のある選択肢がないかを検討してください。
例えば、渋滞ののろのろでイライラしたらどうしますか。あなたは他のドライバーに腹を立てるかもしれません。あるいは渋滞を抜けだそうと決心してカーナビを駆使してすり抜けようとするかもしれません。音楽テープをかけて口ずさんだり、ラジオのお笑い番組で気を紛らわすかもしれません。使うか貯めるか。浪費するか保存するか。決めるのは常にあなた自身なのです。
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◇ストレス収支表・ワークシート |
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