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うつ病は怖い病気ではありません。うつ病を克服した人は、確実にこころが強くなります。加えて、周囲のこころの不調にも敏感になり、苦しむ方のサポートもできます。その意味でも、こころの不調を克服した方の職場復帰は重要なのです。経験者が職場を強くし、結果的に会社を強くするのです。 |
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回復までにたどる「4つのサイクル」
再発しやすい原因
再発予防の4つのポイント
回復しかけているときの家族の注意点
職場復帰の際の環境調整
職場復帰に伴う主治医(専門医)との連携
再発予防のために
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職場復帰の際の環境調整 |
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職場への復帰が決定した時から、本人の不安と緊張は高まります。一時期休んでいた職場に戻ろうとする方の心境は、廻っているメリーゴーランドに飛び移ろうとするかのようでしょう。したがって、復帰を直前にして、本人が後込(しりご)みをしてしまい復帰の延期を申し出る場合も、症状が増悪して延期せざるを得ない場合もあります。
職場復帰しようとする方は、復帰した当初から、以前健康な頃と同じように働きたいと願っているために不安になり、緊張します。そこで、職場に再適応しようとしている方の不安と緊張を緩和させるような働きかけをする必要があります。それには、復帰後の目標をあまり高く設定させないことが大切です。例えば、職場復帰の最初の目標を、まず通勤に慣れること、定刻に出勤出来ること、職場の雰囲気・人間関係に馴染むこと、くらいに設定します。とりわけ、復帰前の1週間と復帰後の1週間は、十分な注意を要する時期です。この期間に、いったんは改善していた症状が悪化しやすいこと、特に、うつ病やうつ状態の回復期には、自殺の危険が高まることはよく知られているところです。これらを完全に防ぐ事は難しいことですが、最大限の配慮を心がけることが大切です。
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◆職場の環境調整 |
職場の管理者には復職後の職場環境、作業内容、職場内の人間関係などに十分な配慮をしてもらう必要があります。というのは、対象者の病気についての正しい理解と認識をもって、復帰する方を受け入れてくれるような職場の雰囲気・態勢を作り出せるか否かは、当の職場の管理者の理解と能力にかかっているからです。そのため、衛生管理者や産業医、または主治医と密に連絡することを怠ってはいけません。
作業内容に関しては、配置転換や職種の変更が復帰後の適応にとってよい場合もないことはありませんが、多くは再発の誘因になることがあるので、復帰間もなくの作業内容の変化は慎重でなければなりません。復帰する職場は原則として元のところに再適応させて、その後、本人の意志や希望を十分に聞いた上で、さらに主治医の意見を参考にして、配転や転勤を考慮しましょう。
精神疾患の方はややもすると欠陥のある者と見なされやすく、しばしば扱いにくい厄介者と見なされて、他の職場に厄介払いやたらい回しにされる傾向がないとはいえません。したがって、職場のメンタルヘルスに関わる方はこのようなことが起こらないように、それぞれの立場・役割の上で努力しなければなりません。
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◆ならし出勤(リハビリ出勤) |
正式の復帰を前に本人を試験的に出勤させるならし出勤、あるいはリハビリ出勤の制度を持つ企業もあります。この制度は、職場復帰への不安を緩和させるばかりでなく、職場の管理者や同僚も本人の様子がわかるため、職場への再適応にとって有効です。その試験的に出勤する時間帯や期間は、本人の状態に応じて、主治医または産業医、職場の管理者、本人たちの話し合いによって決定されます。
この制度があると、ならし出勤や勤務状況や経過を診て正式の復帰が決められるため、職場復帰に伴う困難や危険をかなり回避することが出来ます。その際、この期間での事故や負傷などについての補償に関する規定が明確になっていることが重要です。
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