|
|
|
|
|
精神障害の分類と診断名
統合失調症
躁うつ病(気分障害)
神経症
摂食障害(拒食症、過食症)
パーソナリティー障害
薬物依存症
アルコール依存症
久里浜式アルコール依存症
依存症の種類
心身症
外傷後ストレス障害(PTSD)
急性ストレス障害
適応障害
自律神経失調症
自律神経失調症調査表
|
|
|
|
|
|
自分の外部にある、特定のものごとに強い恐怖心を抱くために、日常の生活や社会活動に支障をきたしている状態を「恐怖症」といいます。
恐怖症の方は、一般の人がそれほど怖がらないような対象や状況に対して、自分でも「なんで怖いんだろう?」と思いながらも、強い恐怖を感じて悩みます。恐怖症は、恐怖の対象によって「広場恐怖」(外出恐怖)、「特定恐怖」、「社会不安障害」と分類されています。
|
◆場所や状況が怖くてひきこもりがちになる「広場恐怖」 |
「広場恐怖」(外出恐怖)は、何か困ったことが起きても誰にも助けてもらえない、あるいは恥ずかしい思いをしたことがあるという“場所や状況”に対する恐怖によって、外出ができない、一人になれないなどの症状がでてしまい、生活や社会活動に支障をきたす状態をいいます。恐怖の対象となる場所や状況の典型的な例としては、一人での外出、家に一人でいること、人込み、渋滞する道路、橋、電車や飛行機、エレベーターなどの乗り物などがあります。
広場恐怖は、英語の「アゴラフォビア」を訳した言葉ですが、アゴラとは古代ギリシャの「人々が集まり交流する広場」を意味しています。つまり、広い場所そのものが恐怖の対象となるというよりは、人が大勢いるところで「恥をかきそう」と怖がってしまったり、「知らない人ばかりで助けを求められない」と思い込んでしまう個別的な場所に対する恐怖のことを指しています。
広場恐怖には、恐怖の対象である場所や状況に立たされていると、“パニック発作が起こるのではないか”という恐怖から恐怖症になる場合と、かつて渋滞に巻き込まれて用便をがまんした経験から、再び渋滞にまきこまれるともらしてしまうのではないかと不安にかられるというような、“過去の恐ろしい経験”から陥る場合の2通りがあります。
特に、パニック発作をともなう広場恐怖の方は多く、パニック障害と診断された人の約3分の1から半数が広場恐怖をともないます。 |
|
広場恐怖の方のなかには、生活空間が著しく狭くなった場合など、気分が落ち込む抑うつ状態になりがちな人もいます。家族にうつ病経験者がいる場合も多く、うつ病の誘因ともなる、親しい人との離別・死別体験をもっている人も多いと指摘されています。
|
◆治療方法 |
治療には、抗不安薬や抗うつ薬、SSRIなどを用いる薬物療法、恐怖の対象となる場所や状況に徐々に慣れさせていく行動療法、本人と恐怖を結びつけている持続的・否定的な考えを修正して現実的なものに変えていく認知療法を並行して行なっていきます。
|
◆恐怖の対象がさまざまな「特定の恐怖症」 |
苦手なものは誰にでもありますが、犬や地震、血液や高所など、ある特定の対象に対して恐怖を覚え、日常生活に支障をきたすほどの症状を現すものを「特定恐怖」といいます。特定恐怖のタイプは主に、動物型、自然環境型、血液・注射・外傷型、状況型、その他の型に分けられます。
動物型は、動物や虫がきっかけで恐怖が生じる場合で、小児期に多く発症します。
自然環境型は、嵐、高所、水などの自然環境が恐怖の対象で、これも多くは小児期に発症します。
血液・注射・外傷型は、血液や傷を見たり、注射や切開などの医学的な処置を受けたことがきっかけとなって発症します。
状況型は、列車や飛行機、トンネル、橋、エレベーター、自動車の運転、閉所などの特定の状況がきっかけとなります。上述した「広場恐怖」と似ていますが、広場恐怖の場合はパニック発作や過去の苦い経験が前提であるのに対し、状況型の恐怖症は、それらの前提なしに、その状況そのものに恐怖を抱くという違いがあります。状況型の発症しやすい年齢は、小児期と20代半ばです。
恐怖の対象となるものや状況に直面すると、すぐに動悸、震え、冷や汗、胃腸の不快感、下痢、緊張、赤面、混乱といった不安症状が現れます。恐怖の対象を回避できないときには、パニック発作を起こす場合もあります。
生活に大きく障害がみられてはじめて、恐怖症と診断されますが、「○○を怖がるぐらいの弱点があってもいいか」と放置しているうちに症状が軽くなることもあり、恐怖の対象を避ける工夫をすればふつうに暮らしていける場合もあります。
|
◆学校や会社関係の人と会うのが苦痛な「社会不安障害」 |
自分が恥ずかしい思いをする可能性がある状況に対して、絶えず不安を感じていて、職場や学校などの社会的な状況におかれると、不安反応が誘発されて、日常生活に支障をきたしてしまう場合は「社会不安障害」といいます。症状としては、動悸、手の震え、発汗、胃腸の不快感、下痢、緊張、ひどく赤面する、混乱などが現れます。
社会の中で、周囲の人とうまくつきあうためには、それにふさわしい言動をとったほうがよいと誰もが思います。ところが社会不安障害の人は、相手の人にどう思われるかをひどく気にして、自然に行動できなくなります。
社会不安障害になっている本人は、人の目や評価を恐れすぎていること、自分の対人反応が過剰であることを認識していますが、自分ではどうすることもできません。10代半ばまでに発症することが多く、18歳未満では症状が6ヵ月以上続くことが診断の基準となります。
社会的に成長するにつれて症状が軽くなる場合もありますが、放置すると、うつ病やアルコール依存症にもなりやすいので、医師の診療を受けることが必要です。
|
治療方法 |
●薬物療法
抗うつ薬、SSRI、抗不安薬、などが用いられますが主となるのは精神療法といえます。 ●精神療法
認知行動療法、行動療法、支持的精神療法、精神分析療法、森田療法、SST、リラクセーションなどさまざまな治療法があります。 |
|
|